「最近、よく照れるね」 「そ、そんなことない、よ…」 「照れる菜穂も俺得だからいいんだけどね」 「お、俺得って……」 「ほら、また照れた。 可愛いな、せっかく我慢したのにまたキスしたくなる」 そう言って、また私に手を伸ばした蓮くん。 「じゃ、じゃあ準備しようかな…!」 恥ずかしさでいっぱいの私は慌てて立ち上がり、蓮くんから離れた。 「……菜穂」 だけど蓮くんは座りながら私の腕を掴み、部屋を出ることを制される。 私の名前を呼んだ蓮くんの声は、途端に不機嫌なものへと変わった。