「菜穂、もしかして引いた? 気持ち悪いって思った?」 「……う、ううん、全然そんなこと思ってないよ…!」 蓮くんにまた話しかけられ、はっと我に返った。 慌てて蓮くんの言葉に否定すれば、蓮くんは一瞬だけ目を見張ったあと、また意地悪そうに笑う。 「…全然、か……。 じゃあ今ここでキスしていいってこと?」 少し蓮くんが顔を近づけてくる。 さっきまでの胸の痛みは何処へやら、途端にドキドキとうるさくなった。 蓮くんの言葉や行動一つで感情が大きく動かされているのが、自分でもすぐにわかった。