「……む、無理です…」
「どうして無理なの?」
「恥ずかしい、から…」
蓮くんは少し意地悪だ。
絶対わかっていることを私に聞いてくる。
自分の口から言うのがどれだけ恥ずかしいことか。
「そっか。
じゃあ……」
「……っ!?」
蓮くんが、額を合わせるのをやめたかと思えば、私の頬に触れていた手が移動し、今度は私の顎を持ち上げる。
自然と絡み合う視線。
蓮くんはすごく楽しそう。
いや、意地悪そうに笑っている。
本当に恥ずかしくって、せめて視線だけでもと思いそらした。
だけど蓮くんがそれを許してくれるはずがなくて…
「菜穂、ちゃんと俺を見て」
また、恥ずかしいことを要求されてしまう。



