「…菜穂」



私の名前を呼ぶ蓮くんは、やっぱり少し弱々しい。



それから少しの間、お互い何も話さなかった。



私も蓮くんの返事を急かすつもりもなく、ただじっと待つかのように動かずにいた。



すると蓮くんが、突然小さく笑い出す。



「蓮くん…?」



「本当にさ、昔も今も変わらず菜穂に助けられてるんだよね、俺って」



「え……?」



昔も、今も…?
今確かに昔もって言ったよね…?



それとも聞き間違い?



うん、きっとそうだと思う。



だって私は蓮くんと高校になって初めて会ったのだから。