「さっきはありがとう。
菜穂のおかげで元気出たよ、本当に」



私を抱きしめる蓮くんの口調は穏やかで優しい。



「ほんと…?
なら良かった。


蓮くん、三時間以上もパソコンに向き合ってたんだよ?中々休んでくれないから」



「……時間、忘れるんだよね。
ああいうことしてる時って。


ごめんね心配かけさせて」



絶対、それだけじゃない気がするのは気にせいだろうか?



時間を忘れる…パソコンに向かっていた蓮くんは、確かに真剣だった。



でもそれ以上に…何か使命感というか、やっぱりこれも“何か”が蓮くんに取り憑いていた。