「え、あの…どこに行くの?」
「お昼寝するために寝室に行くんだよ」



蓮くんは嬉しそうに笑い、私を見つめてきた。



「じ、自分でいけるよ…」
「ほら、ちゃんと掴まっててね」



私は眠たくないのだけど、きっと蓮くんは眠たいのだろう。



三時間以上も休まずに仕事をして、絶対疲れているはずだ。



結局お姫様抱っこの状態で寝室まで行き、ベッドの上で降ろされた。



「…菜穂」
「は、はい…」



「どうしてこっち向いてくれないの?」



そう。



さっき自分から抱きつくという行動が思い出しただけでも恥ずかしくて、蓮くんの方を見れないのだ。



今は夏用の薄い布団で顔を覆い隠している。