蓮くんが座ったところで私も隣に座り、一度心を落ち着かせるため目を閉じる。 き、緊張してきた…。 いつも蓮くんは平然としながら私を抱きしめてくれるけど、私の場合はそうじゃない。 今だって心臓がばくばくとうるさかった。 「……菜穂? どこか体調でも悪いの?」 きっと私がずっと目を閉じて動かないから心配したのだろう。 蓮くんが優しく声をかけてくれた。 だから今だと思い、私は勢いよく蓮くんに抱きついた。 この時の私にしては、人生最大の勇気と大胆な行動だったと思う。