「はい、どうぞ」
三階に上がり、手慣れた様子でドアを開ける蓮くん。
頭を下げてお礼を言い、私が先に中に入る。
そこまでは良かったんだけど…
ちらっと蓮くんを見てみれば、ドア付近で立っているだけで中に入ろうとしない。
「……あ、あの…蓮くんは寝ないの?」
「ううん、寝るよ。
でも心の準備がないと菜穂と一緒になんか寝れない。
だから先に寝てていいからね」
心の準備…?
寝るだけなのに心の準備が必要なの?
でもそうなってしまえば蓮くんの寝る時間が遅くなってしまう。
「それだと寝る時間、遅くなっちゃうから…蓮くん、一緒に寝よ?」
だから一緒に寝ようと言う私。
そしたら突然蓮くんは固まってしまう。
と思ったら何も言わずに部屋から出てしまった。



