それから私は
彼の事が頭から離れなくなっていて
もらったメモを見ながら
何度も電話しようか考えた。

だけど…
どうしても躊躇してしまう。
引っ掛かっているのは
陽向さんが七星さんの元カレで
別れても彼女を想い続けていたって事実。


私はジンくんに
陽向さんは七星さんに
それぞれフラれてしまった関係。

弱っているところに入り込むなんて
ズルいのかなって…

向こうの気持ちだって
よくわからないのに。


「やっぱりやめよ」


忘れようって決めて
もらったメモを鞄にしまった。


…それなのに
彼の言葉が耳に残る。


『素直な感情を知ったから
 ちょっと見方が変わった』


『笑顔…初めて見た。
 可愛いじゃん』


そんな事を初めて言われて
ドキドキする気持ちが
抑えられない。


”1か月のタイムリミット”


期限の終わりを思い出し
カレンダーに目を向けた。

もうあまり時間がない。
彼…外国に戻っちゃう。

このまま何もしなければ
きっと…もっと後悔する。


そう思ったら
理性より感情が先立って
私は彼に電話をしていた―――