「ジンくんの…バカ。
 そんなフリ方…ひどすぎるよ」

「…そうだな」


本当、最低すぎるな。

結局のところ
どんなに考えて言葉にしても
『七星が好きだからお前とはいられない』
そう言ってるだけだ。
傷つけている事には変わりない。


「ヒナコ…ごめん、な。
 今まで―――」

「それ以上は聞きたくない!」

「ヒナコ…」

「今は何も聞きたくないッ」


俺の言葉をムリヤリにも聞こうとせず
耳を塞いでしまった。

それどころか…


「そ、それよりも
お腹空いたでしょ!ね?
すぐご飯の用意するッ」


目も合わせず
逃げるように背中を向けてしまった。

やっぱ受け入れられないって事、か…。

ヒナコが納得するのには
まだ時間が必要だな。
今日はひとまず俺の気持ちは伝えた。
あとは今後の事をもう少し話し合っていくしかない。


そんな事を考えながら
俺はソファで煙草を一本口に咥え
そして…吸うのを辞めた。

七星の体の事があって
アイツの前で煙草を吸わなくなったが
ヒナコの前では気にした事がなかった。

ヒナコはそれに
気付いていたんだろうな…―――



                ― 煌月 fin ―