「マンションに戻るのは
 もう決定なの?」

「…そのつもりだ」

「そっか…。
 イヤ…だな、離れちゃうの…」

「…」

「好きじゃなくてもいいから…
 ココにいてよ…」


好きじゃなくても…か。


「お前は…
本当にそれでいいのか?」

「いいよ!!
 私は…高校生の頃からずっと大好きだから
どんな形でも
私はジンくんと一緒にいたい!
離れるなんてイヤだよッ」

「ヒナコ…」

「ジンくんまでいなくなっちゃったら
 私…どうやって生きていったらいいのか
 わかんないよ…」


俺がいなくなったらコイツは
本当に何をするのかわからない。

だからこの言葉が
俺にとっては1番怖かった。
まるで“死”を意味するみたいだから。


「なぁ、ヒナコ…」


泣きじゃくるコイツに
どう言えば俺の気持ちが伝わるのか
わかってくれるのか
まったく先が読めないが…


「そんな事を考えるな…。
 俺達はお互い
 確かに家族を失って独りになった。
 けれどそれをお互いが依存して慰めあうのは違う。
 お前はお前のこれからがあるんだ。
幸せにならないと。
でもその相手は俺には…出来ない。
 俺も自分の道を進む」


これが精一杯だ…。