彼女を独りにするのは気が引けたけど
今動けるのはアタシしかいないし
現在地の手掛かりを見つけないと
彼等に連絡が取れたとしても
場所を伝えられない。


「熊とか出てきたら食べられるな…」


あり得る。
冬眠時期ならともかく
今はきっと元気ハツラツだ…

か、考えないでいよう。
ドキドキしすぎて
また不整脈になり兼ねない。

早乙女さんがいる場所から離れないように
気を付けながら少し下った先を進むと
森が少し開けてきて
微かに水音がした。


「あ!川が近いんだ。
 って事は…川沿いを進んで…」


来た場所と川の流れを見ながら
頭をフル回転していると…

~♪

早乙女さんのスマホに着信が入った。

電波が少し復活したみたい。

画面を見ると
煌月の名前が。


「もしもし!?煌月!?」

『…な…、お…、ど…』


やっと繋がったかと思ったのに
電波が悪すぎて途切れ途切れになってしまい
アイツの声が全然聞こえない。