こんなところで
下着になるワケにもいかないし(当たり前)
持っていたハンカチで制服を拭いていると
煌月はどこからか雑巾を数枚持ってきて
床を拭いてくれている。


「あ、ありがとう…ごめん」

「いいからお前は早く着替えてこい」

「え、いや…手伝うよ」


人にやらせて自分だけ着替えるワケにいかず
持ってきてくれた雑巾を手に取り
一緒に床掃除―――


「どうした!?
 なんかあったのか!?」


アタシの声を聞きつけて
陽向さんまで来てしまった。
それも他の社員達まで集まる始末。


「あ、大丈夫です!
 すみません驚かせてしまって。
 落としただけなので
 お気になさらず…あはは~」

「俺も手伝う!」


そう言って陽向さんは駆け寄り
手伝ってくれようとしたが。


「大丈夫です、陽向さん。
 もう少しで終わりそうですし
 俺達だけで平気です」

「けどッ」

「あ、本当に大丈夫です。
 心配掛けてすみません」


彼にまで手伝ってもらったら悪いなと思い
断ってしまった。


「…そっか。
 わかった」


陽向さんは
強張った顔つきに変わり
それ以上は何も言わず
その場をあとにしていった。