でも少しだけ
複雑な気持ちだ…


「ジンくんのお母さん
 まだ意識はハッキリしていないけれど
 一命を取り留めて
 集中治療室からも出られたの!」

「そうなんだ…」


だけど…


「あとは回復するのを
 ゆっくりと様子を見る事になったんだよ!」


嬉しそうに笑う彼女を見ると
そんな複雑な気持ちも
どこか、消えていくような気がする。


「アイツも大丈夫そ?」

「うん。
 まだ元気はあまりないけれど…
 気落ちはしてないよ」

「そっか…」


それなら良かった。
何もしてやれなかったけど
ずっと心配だったから…
だから
あとはもう大丈夫だね。


「七星さんには
 たくさんヒドイ事を言ってしまって
 本当に申し訳ないって思ってる…」

「早乙女さん…」

「ジンくん、取られたくなかったの。
 いつも一緒にいる七星さんが
 羨ましかった…。
 だからキツく当たっちゃった…」


うん、だいぶ知ってるよ。
それでも
それが“恋”だと思うから
無理もない。
アタシが逆でもたぶん
同じ事を思うから…


「今回の事で
 庇ってもらって…
 嬉しかった」


ううん。
アタシはただ―――