「や、やだな~
 なんの話かなぁ?」


この期に及んで
まだ白を切る早乙女さん。


「誤魔化しても無駄って事くらいわかるだろ。
 ったく…
 何やってんだよ」


さすがに煌月の呆れた様子に
答えないワケにはいかなくなったんだろう。


「…だって…」


認めるしかないこの状況に
下唇を噛みしめ
今にも泣き出しそうな震えた声で
なんとか声を出した。


「どうしてこんなバカな真似してくれたのか知らねぇけど
 子供じゃねぇんだ。
 編集長やら上の人間まで巻き込んで
 責任の所在は考えてんだろうな」

「それは…」

「お前がそんな事をするとはな。
 完全にやりすぎだ」


普段の煌月とは違い
早乙女さんへの攻めの姿勢に
彼女はただただ圧倒されてしまった。

どん底に突き落とすためにやった事が
結果的に好きな人に迷惑を掛けガッカリされたんだ――

自分の仕出かした事を
初めて思い知らされた早乙女さん。

それでも…


「1年に1度の大事な日を…
 一緒にお祝いしたかっただけなの…」


目に涙を溜めながら
消え入りそうな声でポツリと呟いた。