……っ。



視界に映ったその瞬間が、まるで絵画の一枚のように、美しかった。


花に水を遣る、女子生徒。

きっと年上だろう。彼女は大人びた容姿をしていて、何処と無く、言い表せない妖美ささえ感じる。


俺は柄にも無く彼女に見惚れ、少しの間動けなくなった。


花ひとつひとつを愛しそうに見つめて、手入れをしている。

あの瞳を、自分も向けられてみたいなんてバカなことを考えたことに気づいて、慌てて首を振った。


何考えてんの、俺……きっも。



そう思いながらも、目が離せない。


あんなふうに優しい瞳をしている彼女は、きっと心の美しい人間に違い無い。



ーーそう、勘違いしてしまったんだ。