【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



あんまり見てはいけないと思いながらも、キョロキョロと見渡してしまう。


壁には、好きな選手だろうか。サッカーのポスターが貼ってある。

それ以外は目立つインテリアはなく、寒色で揃えられたシンプルな部屋。

なんだかとっても和泉くんらしい……。


私はセンスとかがないから詳しいことはわからないけど、すごくかっこいい部屋に思えた。



「お待たせしました」



落ち着かずそわそわしていると、もう上がったのか少し髪が濡れたままの和泉くんがいた。

和泉くんは私の隣に座ったかと思うと、手を伸ばしてくる。

そっと肩を掴まれ、抱き寄せられた。



「やっと抱きしめられます」



……っ。

もしかして、抱きしめるためにシャワーに……?

汗なんて気にしないのにっ……。



「静香先輩、顔真っ赤です」

「だ、だって……」



和泉くんに抱きしめられているから、仕方ないっ……。