【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



リナちゃんが、眉間にしわをぎゅっと寄せた。



「ムカつく〜!!!」

「静香ちゃんと付き合い始めてから、ますます生意気になったんじゃない?」



呆れたようにそうこぼすふたりの顔を、私は恥ずかしくて見れなかった。



「早く戻るわよ!!」

「はぁ……まだ休憩残ってるじゃないですか」

「もう終わるわよ!!ったく、早く!!」



怒っているリナちゃんの姿に、和泉くんははぁ……と盛大にため息を吐いた。

も、戻らなきゃっ……。


歩き出そうとした時、和泉くんに腕を捕まれ引っ張られた。



「部活終わったら、補充させてくださいね」



耳元に顔を近づけられ、囁かれた言葉に肩が跳ね上がる。



「は、はい……」



和泉くんが甘すぎて、私の心臓は毎日悲鳴をあげていた。