【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



息が当たってくすぐったくて変な声が出てしまった。


ち、近いっ……。



——バタン!!



「おいコラ和泉!!!部活中はいちゃつくなって言ってんでしょ!!!」



扉が勢いよく開く音が響いたと同時に、リナちゃんの怒り声が。


み、見られたっ……。


私は慌てて和泉くんから離れた。



「……ちっ」

「舌打ちすんな!!全く……遅いから見に来てみれば、油断も隙もないわね……」



よく見ると、リナちゃんの後ろには佐倉先輩もいる。



「ほんと。体育館倉庫で一体何するつもりだったんだろうね。和泉って意外とむっつり」

「別に、恋人なんでいいじゃないですか」



離れた私の手を握って、見せつけるようにそう言った和泉くん。

私の顔は、一瞬で赤く赤く染まる。