【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



前が優しくなかったというわけではないけど、今の和泉くんを一言で表すなら、『甘い』。甘すぎて、私は毎日溶けてしまいそう。

和泉くんといると、ずっと心臓がうるさいほどドキドキしている。



「って、俺汗臭いから抱きしめられない」



悔しそうに頭をかいた和泉くんに、首を横に振った。



「和泉くんはいつもいい匂いがします!」


汗臭いなんて思ったことがないし、いつも爽やかな匂いがする。

香水も何もつけていないって言ってるから、和泉くん自身から香る匂いかもしれない。


……って、今の言い方、なんだか変態みたいだったかもしれないっ……。



「へ、変な意味じゃないですよ……!」



慌てて訂正した私に、和泉くんはふっと笑う。



「静香先輩だって」

「え?」

「いつも、花のいい香りがします。この匂い、俺好きです」

「……っ、ひゃっ」



私の首筋に顔を埋め、息を吸った和泉くん。