【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます……!ごめんなさい、休憩中に手伝ってもらって……それに、助けてもらってしまって……」

「このくらい手伝ううちに入りません。それに、恋人を助けるのは当然です」



恋人……。

まだ、その通称になれない。


いつまで経っても……和泉くんが私の恋人になってくれたなんて、信じられない奇跡。



「い、和泉くんも、何か取りに来たんですか?」



体育館倉庫に、何か用事があったのかな……?



「いえ。静香先輩が行くの見えて、追いかけてきました」



えっ……?



「ここなら、誰にもバレないし……静香先輩充電させてください」



和泉くんは、私の頬に手を添えて、柔らかい笑みを浮かべる。

その笑顔に、心臓が大きく高鳴った。


恋人になってからというもの、和泉くんはびっくりするほど優しくなった。