【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



もうちょっと……きゃっ!


足を滑らせてしまい、脚立から身体が傾いた。

そのまま下に落ちる……と覚悟し目をきつく瞑った時、ふわりと抱きとめられる。



「……っ、あぶな……」



この声は……和泉くん……っ。

目を開けると、視界に安堵の表情を浮かべた和泉くんがいた。



「はぁ……よかった」

「い、和泉くん、どうして……!」



こんなところにいるんだろうっ……。

今は休憩中のはずなのに……。



「コーンですか?」



そう聞かれて、とっさに頷く。

和泉くんは脚立も使わず軽々と、赤いコーンをとってくれた。