【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




「静香先輩が入ってきてくれてから、練習はかどるな〜」

「俺らの士気も上がるしな」

「お前っ……そんなこと言ってたら和泉にやられるぞ……!」



部員さんたちが私の方を見ながらこそこそ話しをしていて、首をかしげる。


いつも何か言われている気がするけど……も、もしかして私、嫌われていたりしないかなっ……。


和泉くんとお付き合いを初めてからは、悪い噂が立たないようにと前以上に注意している。

私のせいで和泉くんも悪く言われてしまうことだけは、嫌だったから。



……よし、補給終わり。



「休憩明けたらミニゲームなので、コーンとってきます!」



近くのマネージャーさんにそう告げて、体育館倉庫へと急ぐ。

えっと、赤コーンが4つ……あれ、3つしかない。


あっ、あんな上に……!


倉庫の仲の上の段に、1つだけ置かれた赤いコーン。

手を伸ばしても取れなくて、近くにあった脚立に恐る恐る足をかける。