【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「も、もう容量オーバーです……」



真っ赤な顔からふしゅ〜……と湯気が出ている気さえして、両手で顔を覆った。



「なんのですか」



和泉くんはそんな私を見てまた、おかしそうに笑う。


よく知る道、よく知る風景。

それなのに……隣にいるのが和泉くんというだけで、世界が輝いて見える。



「……これから、先輩のこともっと教えてください」



和泉くんの笑顔は眩しくて、やっぱりまだまだ直視できないけど……



「私にも……和泉くんのこと、教えていただけると嬉しいです……」

「そんなかしこまらないでください。敬語も禁止です」

「が、頑張りますっ……」

「少しずつ、恋人らしくなっていきましょうね」



——この日常が当たり前になる日が来るといいなと、私は強く願った。