【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「あの」



何か言いかけた和泉くんに、耳を傾けた。



「誰かと付き合うとか初めてなんで、いろいろわからないこともあると思うんですけど……嫌なとことかあったらすぐに直すんで、言ってください」



まっすぐに目を見つめてくれる和泉くんに、やっぱりまだ夢見心地から覚めなかった。

和泉くんの、初めての恋人が……私なんかでいいのかな。

そんなネガティブなことも思ってしまうけど、それ以上に嬉しくて、この幸せから醒めたくない。



「わ、私も、初めてなので……何かダメなことをしてしまった時は、いつでも言ってください」



和泉くんにずっと好きでいてもらえるように、

ずっとそばにいられるように、なんだって頑張りたい。

そのためなら、どんな努力でもできる気がした。



「……え?」



なぜか驚いている様子の和泉くんに、どこに驚くタイミングがあったのか疑問に思う。



「どうして驚くんですか……?」

「いや……あの、俺が初めての恋人なんですか……?」



え?