「行っとくけど和泉、静香の門限は6時だからね!!」
まるで会話が聞こえていたかのように、姿が小さく見えるくらいの距離でリナちゃんの大きな声が聞こえた。
私は振り返って、苦笑いでもう一度手を振る。
「……え?」
隣を歩く和泉くんが、驚いたように目を見開く。
「門限あるんですか……?」
あれ……門限があるのって、そんなに珍しいのかな……?
当たり前のことだったから、和泉くんの反応に私のほうが驚いてしまった。
「はい。高校生になってからは、6時になったんですよ」
笑顔でそう伝えると、和泉くんは益々目を大きくさせる。
「……それまでは何時だったんですか?」
「中学生の時は5時でした」
「破ったことは?」
「ないです。お父さんとお母さんが心配するので……」
そう言ってから、あることを思い出す。

