【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




「もう帰りましょう、静香先輩」



健太くんと佐倉先輩にからかわれたのか、少し不機嫌そうな和泉くん。



「あ……ごめんなさい、今日はリナちゃんと帰る約束をしてて……」



そう言うと、和泉くんはリナちゃんの方をじっと見つめた。



「何よその顔。はぁ……不本意だけど、今日は譲ってあげるわ」

「え?」

「一緒に帰りなさいよ。話したいこともあるんでしょ」



リナちゃん……。



「ありがとうございます、リナ先輩。じゃあ、帰りましょうか?」

「は、はいっ……」



また今度、埋め合わせしなきゃっ……。

ありがとう、リナちゃんっ……。


みんなにバイバイをして、和泉くんと下駄箱の方に向かって歩き始めた。



「話たいことがたくさんあるんで……どっかファミレスでも入りませんか?」



和泉くんの言葉に、こくこくと何度も頷いた。

私も……たくさん、お話したい……。