「今日言ったことは、全部忘れて。でも、これからも友達として仲良くしてほしいな」
そう言って、今度はいつもと同じ、優しい微笑みを向けてくれた佐倉先輩。
そんな……私の、セリフだ。
「も、もちろんです……!こちらこそ……!」
心の中で「ありがとうございます」とつぶやいて、頭を下げた。
佐倉先輩は……本当にどこまでも、優しい人。
すごく自分勝手だけど……佐倉先輩には素敵な人と、幸せになってほしいなと思った。
私の返事に、満足げに微笑んだ佐倉先輩。
「ありがとう。あ、でも……」
……?
「ファーストキスが俺ってことは、忘れないでね」
「……っ」
急に佐倉先輩の顔が近づいてきたと思ったら、耳元でそう囁かれた。
その言葉と意味深な言い方に、かあっと顔が熱を持つ。
「あんまり近寄らないでください」
佐倉先輩を少し押して、壁になるように私の前に立った和泉くん。

