だって、和泉くんが……きっとこの世界で一番素敵な人が、自分を好きだと言ってくれた。
それだけで、自分のことも好きになれた気がした。
心の中がいっぱいいっぱいになって、うまく言葉が出ない。
小さく深呼吸をして涙を拭き、拙くも言葉を紡いだ。
「噂は、本当にどこから流れたのかわからなくて……」
少しだけ、和泉くんの服の袖を握った。
誤解だけは解いておきたくて、和泉くんには本当の私を知ってもらいたくて、握る手にぎゅっと力が入る。
「私、あ、愛人?だとか、言われているみたいなんですけど、そんな相手はいないですっ……」
本当に、私が好きなのは、あなた、だけで……
「男友達も、好きな人も今までできたことがなくって……だから、あの……」
子供のようにたどたどしく話す私に、和泉くんが優しい瞳を向けてくれる。

