【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




「ごめんなさい。……ずっと、謝りたかったんです」



和泉くんが、苦しそうに目を細めて私を見つめてくる。



「謝らないでください……」

「……むしろ、もっと怒ってください」

「怒ってなんていません……」

「静香先輩は、優しすぎるんですよ。だから、俺みたいなやつに……」



そこまで言いかけて、一度言葉を飲み込んだ和泉くん。



「……まだ、チャンスがあるなら……」



私はその先の言葉に、じっと耳を傾ける。



「俺のこと、信じてくれませんか……?」



和泉くんの瞳が、切実に訴えかけてくるみたいに見えた。



「虫のいいことを言ってるのはわかっています。でも……もう絶対に、あなたを傷つけたりしないって約束します」

「……」

「俺の……」



じっと見つめてくる瞳があまりにも情熱的で、真剣で、

私はごくりと息を飲んだ。