【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「でも……そんな時、静香先輩の悪い噂を聞いたんです」



噂って……私が軽いとか、愛人がいるとかの、かな……?



「勝手にいい人だと思っていた俺は、あなたに裏切られた気になって、ひどいことを言いました」



後悔の念に駆られているような、悔しそうな和泉くんの表情。



「合宿であなたのことを知って……自分が噂に惑わされていたことに気づいたんです」



これは本当に、夢……?

そう思うくらいリアルで、思考回路が曖昧になってくる。



「本当に反省してます。勝手にあなたを疑って、すみませんでした。俺を好いてくれていることにも気付かずに……きっと凄く、傷つけましたよね」



そんな……悪いのは和泉くんじゃない。

私の悪い噂はたくさんあるそうだから、信じて当然だ。

接点も、なかったから……。