「……すみません」
俺と咄嗟にそう口にして、急いで部室を出て行こうとした。
「……待って和泉」
今すぐこの場から去りたいのに、佐倉先輩の呼び声に反射的に立ち止まってしまう。
「俺と静香ちゃん、付き合おうと思ってるんだけど……和泉はどう思う?」
……は?
この人は本気で、意味がわからない……。
「なんで俺に聞くんですか?別に……いいんじゃないですか」
どうして、俺に聞くんだよ。
キスしてたってことは……もうお互い同じ気持ちってことだろ……。
遣る瀬無い気持ちのまま、部室を後にする。
目的地もわからないまま、とにかく部室から離れようと早足で歩いた。
……あの人、絶対計画してた。
さっき、俺にわざわざ言いに教室にきたのも、そうすれば俺が部室に来るだろうってわかってて……。
まんまと乗せられた自分が恥ずかしい。

