何を話しているのか気になって、扉をじっと見つめる。
何も聞こえない……つーか、これじゃほんとにストーカーみたいだろ……。
ああくそ、静香先輩のことになるとどうしてこんなに消極的になるんだ。
気になるなら入ればいい。俺の中の強気な自分が、心の中でそう言った。
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開く。
俺の目に飛び込んだのは——
佐倉先輩と静香先輩がキスをしている光景だった。
衝撃の光景に、その場から動けなくなる。
……なんだ、これ……。
結局、2人はできてたのか……?
年下の好きなやつって言うのも嘘で……実は佐倉先輩と付き合ってることを隠すための嘘、とか……?
俺に気づいた佐倉先輩が、こっちを見る。
どこか放心状態のように見える静香先輩を、俺のほうを見た。

