【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

ハンカチをポケットに直す時、私はあることを思い出す。



「あっ……そうだっ。リナちゃん佐倉先輩って知ってる?」



昨日、ハンカチを貸してくれた佐倉先輩。

今日は洗濯中だから、明日返しに行きたいのだけれど、まだ教室を知らないままだった。


リナちゃんは、私の質問に眉を顰め、こちらを見ている。



「……は?なに言ってんの?」



……うーん、そうだよね。突然聞かれても困るよね……



「やっぱり、わからないよね……3年生って言ってたから、怖いけど、クラス探してみようかな……」



佐倉先輩目立ちそうだから、きっとすぐに見つかるはず……!



「いやいやいや、あんた本気?佐倉先輩知らないの?」

「え?」



何やら驚きを隠せない様子のリナちゃんは、そう言って頭を抱える仕草をした。