【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜






「こちらこそ、健太くんにはたくさんお世話になりました。ありがとうございます」

「いえ、俺なんて何も……!」



顔を赤くして謙遜する姿に、もう一度「ありがとうございます」と伝えた。



「もう、静香さんには頭があがらないというか……こ、このまま正式にマネージャーになって欲しいくらい、です……」

「ふふっ、嬉しいです」



お世辞だとわかっているけど、そこまで言ってもらえてよかった。



「おい、誰あのイケメン……?」

「誰かの知り合い?やばい、かっこよすぎ……!」



……ん?


前のほうで、騒がしい声が聞こえて視線を向けた。

一点を見ながら、部員さんたちやマネージャーさんたちが集まっている。


誰かいるのかな……?

うんっと伸びをして注目されている場所を見ると、そこには見知った人の姿が。


……え?

もしかして、あれ……。


驚いて固まっていると、その人がこっちを見た。

ぱあっと笑顔になったその人が、駆け寄ってくる。