【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「俺は理由が聞きたいんです。……俺と、会うのが嫌でしたか?」



すごく女々しいことを聞いているような気になったが、ようやく聞けたとほっとしている自分もいた。

どんな答えが返ってくるのか、覚悟はしていた。

けど——



「違います……!」



少し大きな声でそう否定して、俺をじっと見つめてきた静香先輩。

その瞳が嘘をついているようには見えなくて、心の底から安堵した。

嫌われてはなかったらしい。

というか、そんな全力で否定するって……俺に誤解されないように、してるみたいに見えてしまう。


って、自意識過剰かもしれないけど……。



「あ、あの……私が会いに行ったら、迷惑かと、思って……」



恐る恐るそう言った静香先輩に、今度は俺が否定をする番だった。



「迷惑じゃないです」



きっと俺の今までの行いが、この人に誤解をさせてしまったんだろう。

だから……今度は正直に言う。