【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜





「私……迷惑、ばっかりかけちゃって……何の役にも……」



……なんだよ、それ。



「たくさん働いてくれたから、こうして倒れる羽目になったんでしょ?何の役にもたってない訳ないです」



少なくとも、俺は……

静香先輩がいてくれて、気づいてくれて……よかったって思ってる。


初日しかまともに参加してないからわからないけど、静香先輩がちゃんと手伝ってくれているところも見た。


こんな時くらい、他の奴らのことなんか考えなくていいのに……。


この人はやっぱり……優しい人なのかもしれないと、思わずにはいられなかった。



「今日は一日、寝ててください」

「えっ……でも、夜ご飯の支度が……」

「だから、他の奴にまかせたらいいですって」

「……は、はい……」



怒られた子供のように、目を伏せる静香先輩。



「何も心配しなくていいですから、寝ててください」



出来るだけ優しくそう言えば、静香先輩がなぜか頬を赤く染めた気がした。

というより、顔色が良くなったように見えた。