【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
















「疲労による貧血ってところかしらねぇ……」



昼の間、臨時で来てもらっている保健医は、ベッドに横になる静香先輩を見ながらそう言った。



「病院に行かなくて大丈夫何ですか……?」

「うん、平気よ。でも、ゆっくり休んだほうがいいわ。彼女……相当疲れが溜まっていたみたい」



保健医の言葉に、下唇を噛みしめる。

全然、気づかなかった……。


この人は、俺がしんどかった時、唯一気づいてくれたのに……。

相当疲れてたって……この人、相当働いてたのか……?



「私は点滴薬とかとってくるから、そばにいてあげて」



保健医は、そう言い残して部屋を出て行った。

さっきよりも、落ち着いた様子で眠っている静香先輩をじっと見つめる。


本当に、びっくりした……。

急に倒れるから、心臓、止まるかと思った……。


ひとまずよかったと、胸を撫で下ろす。



「ん……」



え?

静香先輩が、小さく声を漏らした。


そしてすぐに、閉じられていた瞼が開く。