【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜





「静香ちゃん!!」



異変に気付いたのか、周りにいた奴らが集まってくる。

その中に、血相を変えて走ってくる佐倉先輩の姿も。



「大丈夫!?……すぐに保健室に連れて行くから」

「俺が行きますッ……」



伸びてきた佐倉先輩の手を振り払って、静香先輩を抱きかかえる。

少しでも負担が少ないように、横抱きにそっと抱え上げた。



「和泉、俺が——」

「佐倉先輩がグラウンド離れてどうするんですか」

「……っ」

「俺に任せてもらって大丈夫なんで」



そう言って、急いで保健室に向かった。



腕の中で苦しそうにしている静香先輩の姿に、心配でどうにかなってしまいそうだった。