【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




昼休みまで待つか……。

とっとと食べて、練習に戻ろう。


卵焼きを、ひとつ口に放り込む。

……美味い。



「今日の飯もうまいわマネージャー」

「ほんとに?よかったぁ」




部員の言葉に嬉しそうに返事をするマネージャーに、疑問が生まれる。

これ……マネージャーが作ったのか……?

一緒に買い出し行った時、メニュー全部静香先輩が考えてたみたいだったけど……。

よくわからない違和感を残したまま、食堂を後にした。


朝食休憩が終わり、すぐに午前練が始まる。


休んでいた分を取り返すため、練習中はサッカーのことだけを考え集中した。



「ほら、バテないで足動かせー!」



ランニングメニューをこなす部員に、喝を入れる佐倉先輩の声がグラウンドに響く。


先に終えた俺は、端に移動して水を飲んでいた。

他の奴が終わるまで暇だなと思った時、俺の目に止まったひとりの人。