「い、和泉くんは、ダサくなんてないです……!」



自分の失言に気づいたのは、目をまん丸と見開いた佐倉先輩と視線が交わった後だった。


……っ。

私今……和泉くんって……言った……?


サーっと、血の気が引くのを感じる。



「あ……あのっ……違っ……」



早く言い訳しなきゃと思いながらも、嘘が思い付かなくて、言葉が出てこない。

えっと、えっと……っ、



「い、和泉くんっていうのは……お、同じクラスの人で……!」

「……静香ちゃんのクラス、和泉なんて名前のやついないよね?」

「……っ」

「あれ、カマかけたんだけど当たっちゃった?……ふふっ、嘘下手だなぁ静香ちゃんは」



にっこりと、不自然なくらいの笑顔を浮かべる佐倉先生に、私はお手上げだった。