【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「……和泉、悪いけど一人で部屋戻って」



監視がてら送り届けてやろうと思ったけど、ちょっと無理になった。



「…………どこ行くんですか」



低い声でそう聞かれて、一瞬気に掛かった。

和泉が一体何に対して不機嫌になっているかが、わからなかったから。



「……ちょっとね」



けど別に、今はそんなことどうでもいい。



「早く戻りなよ」



肩をそっと叩いて、俺は物陰から出た。



「おい」



未だに呆然としている二年たちの前に出る。



「きゃ、キャプテン……!」



驚いて、一斉に俺を見る二年たち。

別に説教する気もないし、後輩の痴話話に首突っ込む気もないけど……一個だけ。