【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「……めて、ください……」

「え?」

「……リナちゃんの悪口言うの……やめてくださいっ……!!」



いつも落ち着いていて、穏やかな静香ちゃんからは想像がつかないような声色だった。

悲しい、悔しい……そんな感情が伝わってきて、ごくりと息を飲む。



「どうして笑ってそんなことが言えるんですか……ケンくんは、最低です……!」



まるで、自分のことのように怒っている静香ちゃん。




その姿が——綺麗だと思った。




「リナちゃんがどれだけケンくんのことを想ってたのか、どんな気持ちで別れようって言ったのか、どうしてわからないんですか……?」



ほんと……変な子。


自分が変な噂立てられてることには、何にも言わないのに。