【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


「遊んでそうって、言われてるだけですよきっと……」



自分の噂は、少しくらい知っていた。


全て、この見た目のせい。

昔から、男の子にも女の子にも好奇な目で見られた。


わたしはどうやら、遊んでいるように見えるらしく、愛人がいるという噂も出回ったことがあるほど。


見た目が派手らしく、勘違いされることが多かったんだ……。


でも、自分では派手にならないように、これでも努力しているつもりだった。


制服は少しも気崩さず、校則を守って着用しているし、メイクも一切していない。強いていうならリップくらいのもの。

髪の毛も、縮毛矯正を充てたこともあったけれど、生まれつきの癖っ毛は直らなかった。


頑張っても、きっとこの見た目は一生わたしに付き纏うんだ。


わたし……男の子と付き合ったことも、手を繋いだこともないのに……。