【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



な、なんだこの不穏な空気……



「……俺の大事な子って言ったでしょ?」



心なしか、キャプテンの声がいつもより低い気がした。

というより……刺々しいというか……優しさが、なかった。


まるで、和泉相手にムカついているような声色。



「なんなんすかその言い方。静香先輩と、付き合ってないんですよね?」



ん?

和泉って……静香先輩と仲良かったっけ……?


和泉の口から女の人の名前が出たことに、正直びっくりする。



「……お前、ほんと生意気」



一体なんの会話かはわからないけど、とにかくひとつだけわかるのは……



……二人とも、超不機嫌っ……!


いつも温厚なキャプテンと、あまり感情を出さない和泉が……なんで?

ふたりを交互に見つめ、この不穏な状況をどうにかしようと頭を回す。