【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



なにもしないくせに……こいつらなんか所詮、キャプテンと和泉の金魚の糞だ。



「ふふっ、喜んでくれて良かった〜」



自分が作りましたオーラ全開のマネージャーに腹が立ちすぎて、俺は立ち上がろうと机に手をついた。

けれど、横から伸びてきた手に、腕を掴まれる。



「柴原、やめときな」

「……キャプテン……」



まるで全部わかってる、とでも言うかのような顔をされ、俺は口の端を曲げる。

一言言ってやらないと、気が済まない……っ。


そんな俺の心情を察してか、キャプテンはにっこり、と、効果音が付きそうな笑顔を浮かべた。



「あんなのほっとけばいいから。平気で嘘つくバカも、バカに騙されるバカも」



……。



「は、はい……」



それ以上反論する気にもならず、俺は立ち上がろうとした腰を下げる。


キャプテンのこの感情の無い笑顔、こ、怖いっ……。