【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



そんなことを考えながら、部員の皿にご飯を装っていく。

順番に皿に小分けして、全員が自分の分の食事を取った。


俺も、おかずをお盆に乗せ、席に着く。


隣には、キャプテンが座っていた。



「なぁ柴原、静香ちゃん知らない?」



辺りをキョロキョロと見渡しながら、そう聞いてきたキャプテン。



「あ……静香さん、用事があるみたいで。後でひとりで食べるって、言ってました……!」

「……そっか」



少し残念そうな顔をして、食べ始めたキャプテン。

俺も早く食べよ……!



…………美味い。


え?

ほんとに美味い……昼飯を作ってくれたおばちゃんたちのご飯も美味かったけど、これは格別に美味い……!


自然と箸を持つ手が進んで、バクバクと食べ進めていく。


他の部員も一緒だったようで、みんな口を揃えて同じことを言っていた。