【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

【side 健太】




静香さんが用事があると言っていて、夕食の仕度を引き受けることになった。

と言っても、静香さんがほとんど用意してくれていたおかげで、俺たちがすることはご飯を装うくらい。



腹を空かせた部員たちが、ぞろぞろと食堂へ入ってくる。



「すっげーいい匂いするんだけど」

「わかる。でも合宿の飯、いつも不味いから期待しない方がいいだろ」

「おいお前、でっかい声でそんなこと言うなよ〜」



ほんとだよ、全く。

ここにリナ先輩がいたら、お前たち絞め殺されてるぞっ……。


でも、ほんとに美味そうなんだよなぁ……

これ全部、ほんとに静香さんが作ったのかな……?


そう疑うほど、食欲をそそる匂いが漂っている。