【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



……?



「今、付き合ってる人はーー「和泉、体調どうー?」



あれ?


和泉くんの声をかき消すように、扉が開く音と、良く知る声が聞こえた。



「……あれ。静香ちゃん、どうしているの?」



私を見てそう言った訪問者の正体は、佐倉先輩だった。


もう、ご飯食べ終わったのかなっ……?


……それに、しても……



「えっと……」



きょとんとしながら、私の方を見ている佐倉先輩。

……なんて、言おうっ……。


本来、和泉くんの看病を任されていたのは私じゃ無い。

それなのに、看病しにきましたなんて言ったら……



「お、おかゆを届けにきただけです……!私、戻りますね……!」



空になった鍋とお皿をプレートに乗せて、急いで立ち上がった。