むしろ、和泉くんは照れくさそうにしていて、薄っすら笑っているようにすら見えた。
ーードキッと、大きく高鳴る心臓。
理由の分からないその笑顔は、私を魅了するには充分なものだった。
和泉くんが……笑ってる。
私、に……?
なんだか今、世界中の幸せを独占しているような気分になった。
「もうちょっと……食べたい、です」
「は、はい……!」
私は急いでおかゆをすくって、さっきのように和泉くんの口に運ぶ。
何度か繰り返して、和泉くんはほとんど完食してしまった。
まさか、こんなに食べてくれるとは……
この調子で、風邪も早く良くなると、いいなぁ……。
「あの……」
恐る恐る、と言った風に、紡がれたその声。
「佐倉先輩と、付き合ってないって……言ってましたけど……」
和泉くんは、真剣な眼差しで私の方を見てきた。

